イノウエサトルのブログ

April 20, 2010

タバコミュニケーション

山口県山口市で「おもかげの家」と名付けたプロジェクトが進んでいます。

国体に向けた道路開通によって土地の大部分を県に徴収され、残った部分に建て替えるという内容です。

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残る敷地内には百数十年この地域を見守ってきた蔵があり、これだけは解体から免れました。この蔵はデザイン上の重要なモチーフとなります。

県との土地売買契約など微妙な問題があったため、今まではブログに載せるのも控えておりました。

いよいよ契約も済み、ようやく公にできる段階になりましたので今後少しずつレポートしていきます。

今回の打合せは、構造家の高嶋さん(Atelier 742)と設備家の鶴さん(シード設計社)という最強設計チームを従えて臨みました。

鶴さんは設備設計にあたり、ヒアリングシートを持参して事細かに施主ご夫婦にインタビューをしてくださいました。

質問の一つ、

「喫煙は室内でなさいますか?」

に話が及び、施主ご主人と鶴さんが愛煙家であることや、愛煙家にとっていかに暮らしにくい世の中になったか、宅内でどのようにたばこを吸うか、といった会話が進むと・・・

「あぁ、もう辛抱たまらん!」

とご主人が席を立ち、吸いに行ったのかな、と思っていると・・・

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April 9, 2010

招集

先輩建築家、森裕さんと松山将勝さんから「いいからとにかく明日夕刻来い」と招集を受けて、清原昌洋さんと一緒に森事務所にお邪魔しました。

「やはりヤキを入れられるのだろうか・・・」

と不安に思いながら、待たされること30分。

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↑森裕建築設計事務所の大樹

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March 27, 2010

親父

僕が建築家を目指すようになったのは、親父の一言がきっかけでした。

「建築家は、半年がっつり働けば、半年遊んで暮らせるぞ。」

国家公務員だった親父は、建築家のような手に職を持った自営業者に対して、そんなイメージをいだいていたのでしょう。

それは、大ウソでした。

でも、今となってみるとちょっぴり素敵なウソだったかな。

すっかり忘れていたのですが先日、親父の誕生日でした。

70歳!!

本人もびっくりしていましたが、息子のこっちも同じくらいびっくりです。

あまり親父について感傷的に書くと某Iアニキのようになるのでやめときますが・・・

一ノ瀬ブログ・名作「実家にて」2008.08.25(←クリック)

日本人男性の平均寿命は、79.29歳で世界一。

平均寿命まであと10年足らず・・・

今のペースで親父と接していたら、

3ヶ月に一度会ったとして、あと40回。

一度に2時間会話したとしてあと80時間。3日とちょっと。

うーん・・・

戦後の極貧を経験し、当時の主食だったサツマイモが大嫌いで、チョコレートが大好き。

文化に飢えていたので、社会に出てからクラッシックギターを始め、バッハを弾きこなすようになったら今度はギターを造ることに目覚めて工具から一式揃え・・・

ある日コソコソと大きな箱を抱えて帰宅したらそれは60万円するギターで、後日生命保険の解約書が家に届いて夫婦間で大騒動を引き起こし・・・

娘を二人も亡くすなど地獄も経験しているけど、それなりに楽しい人生を歩んでいるのではないでしょうか。

とにかく健康に、元気でいてください。

家だとマシンガンスピーカーがいるので、今度近所の飲み屋で二人、じっくり酒を交わしますか。

March 25, 2010

元気です!

ちょっとバタバタしているので、困った時の子供ネタで失礼します!

お陰様で、姉妹仲良く元気に育っております^^

詩のお口には、可愛い歯が春の芽吹きのようにチョコンと生えてきました。

奏は、昨年ドンケツだったマラソン大会で見事40人中ケツから5位という快挙を成し遂げました!(ビデオを撮っていたので残念ながら写真は無し)

二人の成長からもらう悦びが、日々のパワーの源です。

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March 19, 2010

ツチノコハウス棟上げ

今まで幾度となく棟上式に大雨をもたらしてきた雨男イノウエですが、最近どうも晴れ男に変わりつつあるようです。

久しぶりの快晴の中、ツチノコハウスの棟上が無事に終了しました。

Flickr(←写真)

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直角部分がほぼ無いに等しいこのイエ。大工さんの苦労がうかがい知れます。
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しかし、その複雑な壁配置がもたらす不思議な空間がはっきりと浮かび上がってきました。
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ツチノコではなくなったけど、生き物のような外観になりそうです。
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海に向かう大きな開口部。
写真に写っているのは大阪芸大から帰省中のY君。
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意外なところが意外とアレだったり・・・むふふ。
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この空間は狙いどおり。
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施主おじいちゃん。2階がお気に入りですか?
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この超複雑な木造住宅を作り上げる棟梁は、村岡渉、弱冠31歳。
施主の幼馴染。

初めて棟梁として引き受けた仕事がこのツチノコ・・・

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初めてこのプランと模型を見たときの彼の言葉は、

「面白そう!」

まずは興味を持ってくれたことにホッとしつつ、大工としての若さに正直言って少し不安でした。

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しかし、2週間手刻みに没頭し、最も難関と言われていた棟上げを彼は立派にやり遂げました。

棟上式前、我々から少し離れて、手伝いの先輩大工さんに式の段取りを再確認していた姿がとても印象的でした。初めての晴れ舞台。祝詞の声がちょっと小さかったかな。

西海市に、若く優秀な大工が生まれつつあります。

しかし棟上は、イチ通過点。親友の家を最後までよろしくです。

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式の後は、盛大な餅まき。
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ここにこんなに沢山人がいたんだ!(失礼)
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餅まきの後はお隣にある本家で盛大にもてなしていただき。
刺身の美味いこと・・・
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最高の棟上式でした。

が、まだまだ先は長いのです。引き続き頑張ります!

March 15, 2010

予告:「家づくりスクール」の講師を務めます

ASJ下関スタジオさんから、「家づくりスクール」の講師として呼んでいただきました。

開催日は3/28(日)

ASJの会員さん以外でも参加可能とのことですのでお近くの方はぜひ。

詳しくはこちらで。(←クリック)

ついでにと言ってはなんですが、ちょっとブログをご紹介します。

『建築家との家づくり』 ~デザイナーズハウスができるまで~
(↑クリック)

ASJ周南・岩国スタジオのクライアントパートナー・原口純一さんが書き綴るブログです。

笑いあり、涙ありの、壮大なスペクタクルブログ!ほぼ毎日更新!

家づくりというドラマを、建て主でも建築家でもない視点から眺め、綴っていらっしゃいます。

僕はこのブログの中で指名手配犯的に綴られたこともあります。(今読み返しても怖い・・・)

「イノウエサトル様へ」(←クリック)

こんな風に仕事ブログがメインですが、今後は、彼が仕事の数倍のエネルギーをつぎ込んでいると噂されるボディビルに関する情報をどんどんアップしていく予定だそうですよ!
原口さんはツイッターもやってます。http://twitter.com/J_Haraguchi

ASJという仕組みでは、工務店さんが運営する各「スタジオ」から、原口さんのようなクライアントパートナーという立場の人が家づくりに加わります。

クライアントパートナーは、僕ら建築家が苦手(?)な予算計画とかスケジューリングを、まさに施主側の視点でバックアップする重要な立場です。

原口さんとは付き合いも長く、iphoneやtwitterを通じて公私に渡って連絡を取り合う仲でして、僕にとっても重要なパートナーです。

彼らクライアントパートナーの重要な仕事の一つが、施主にとって建築家を身近な存在に感じさせること。

例えば、原口氏のブログでは、僕をこういう風に紹介してくれます。

「講師は、今や押しも押されもせぬ??福岡県南区を代表する建築家、イノウエサトルさんです。」

「南区」をつけた瞬間、僕のことがすごく身近に感じられる、茶目っ気たっぷりの紹介・・・だとでも思ったのでしょうが・・・

福岡市南区には著名な大先輩建築家が沢山いらっしゃるんじゃい!(汗)

March 9, 2010

メジロの死

新居に引越して2週間目に突入したgazebo house(旧トレコロハウス)。

新居では、様々な事件がおこります。

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空が雲に覆われて冬に戻ったような日が続くこの一週間、ガラス張りの部屋は寒くないかな・・・と気をもんでいた矢先。

Twitterから、gazebo奥様の悲痛なつぶやきが流れてきました。

許可をいただいて、先日の「つぶやき」を引用します。

昼間、1時間ほど外出して帰宅したら、ベランダに二羽のメジロが横たわっていた。片方のコはまだ危篤状態。我が家の窓に激突した模様…

カーテン閉めようか?と息子に聞くと、頑張れって応援すると言うのでそのまま見せていた。すると、急に息子が「ママ!何でもいいからピアノ弾いて!!」「メジロさんに聞こえるように!早く!」 「死んじゃダメだよー」とシクシク泣きはじめた。

僕達のおうち、建てないほうが良かったのかなぁ…と呟く息子に、何と返していいのかわからなかった。明日、メジロさんのお墓作らなきゃ。(略)

その後、危篤状態のメジロさんも他界されたとのこと。

南北両面ガラス張りというgazebo house最大の特徴が、尊い2つの命を奪ってしまったようです。ニ匹は、じゃれ合いながら飛んでいた恋人同士だったのでしょうか。

「僕達のおうち、建てないほうが良かったのかなぁ…」

設計者としては、とても胸が痛む言葉・・・

古代ギリシャ人が建築に植物をあしらったのは、建築という行為が、彼らが神が宿ると信じている自然を犯すことへの贖罪であった、という小咄を持ち出すまでもなく、建築は何らかの形で自然破壊を伴います。

「食べる」という行為は、他の生命の犠牲の上に我々の生が成り立つということを説明しやすいのですが、「住む」ということはそれがなかなか顕在化しません。

鳥が死んだから、ガラス張りにしたのは間違いだった、とは思いませんが、常に意識すべきでありながら、心の片隅に追いやってしまっている問題に気づかせてもらう事件でした。

gazebo奥様とご主人には、お墓の代わりに小さな木を植えませんか?と提案しています。

失われた命が別の命を育むという仕組みを見せてあげることこそが、悲しむお子さんたちのせめてもの慰めに、そして学びになるかと思います。

親自然度の高いgazebo house。ここで育つ二人のお子さんには、自然の優しさも厳しさも感じながら育っていってもらえればと思います。

それはそうと、まずは激突を避ける方法を考えねば。

諸兄の皆様・・・良い知恵をください。

March 7, 2010

古代遺跡のような基礎

長崎市内で午後一番の打ち合わせを経て、西海まで足を運びました。気になって仕方がないツチノコハウス。(いい加減名前変えなきゃ)

ワオ!
ツチノコハウス基礎

途中で寄り道したりして、現場に着いた時には薄暗くなっていました。

しかし、その薄暗さが、立ち上がりの打設を終えたばかりのツチノコハウス基礎を古代遺跡のように演出していました。

どんな物件も、必ず工事中いずれかの段階でトキメク瞬間があります。だけど基礎工事の段階でこんなにトキメいたことはありません。

現場に足を運ぶのがますます楽しみ。

それに、工程を記録しがいのある物件です。

お施主様が記録写真を撮り、ブログにアップしてくださっています。

ツチノコハウスブログ
↑クリック。こちらもお楽しみに。


March 2, 2010

勉強会@モノコト

当事務所は、共同オフィス・モノコトプロジェクトに所属しています。

モノコトでは、空間のシェアにとどまらず知識や知恵、情報を共有して互いを高め合っています。

例えばみんなでまおちゃん応援とか。

まおちゃん応援なう

こういったイレギュラーな集まりに加え、定期的に開催しているのが勉強会、名づけてマンデイギャラリー。

隔週月曜日に広間に集まって、ゲストを迎えたり当番事務所が最近のプロジェクトを発表したりしています。

で、今回はイレギュラーですが本日火曜日にゲストを迎えてお話をしていただきます。

18:00~

@当事務所にて

キャパがないし、あくまで内部の勉強会なのでおおっぴらに広報できずにいますが、当日、このブログを読んで、あと数時間後のことにも関わらず駆けつけれる方はウェルカムです。会費300円。飲み物とお菓子程度がでます。

今日のゲストは・・・

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February 28, 2010

ウミンチュ・イノウエへの道

大学の先輩でもある建築家の大場浩一郎さんに誘われて、2回目のクルージングを楽しんできました。
奇跡の快晴!夜になれば津波が来るかもしれないという、絶妙の一日でした。

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ヨットなど、マリンスポーツには全く縁が無い人生を送ってきました。お金がかかりそうだし、お洒落キャラではないし、サメ怖いし・・・

初めて誘われた時も、「自分はハマラナイ」ことを確認に行くつもりだったのですが・・・

あらやだ、ハマりそう・・・

ヨット、それもクルーザーと聞くと、ワイン片手に横には水着の美女がいて、優雅なひとときをイメージする方が多いと思うのですが、思いっきり汗臭いスポーツです、コレ。

今回は、レースの練習に同行させていただいたのですが、クルーには大場さんのゲキが飛びます。

「何やってんだオラァ!」的な。

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交わされる会話も、ほとんど理解不能。

ジブがどーの、
トッピングがどーの、
デッドランがどーの・・・

僕は邪魔にならないようにデッキ上をウロウロとするばかり。

でも風に乗り、波を乗り越えて大きなクルーザーを疾走させるのは快感です。

次回は、モノの本を読んで、多少理解した上で参加させていただきたいと思います。

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大場号がある小戸のヨットハーバーは、我が家から車で30分。外環状線という都市高速道路が開通すれば15分ほどで着くであろうところにあります。

朝9:30に家を出て、10:30には洋上に。お昼は能古島の「かもめ食堂」で最高の海鮮料理に舌づつみを打ち、夕方17:00には家に戻る・・・これがクオリティ・オブ・ライフin福岡。

かもめ食堂なう