「黒川紀章が亡くなったって」
えっ!?
ヨメからの携帯メールを見て、思わず声が出るくらい驚きました。
驚くと同時に、数年前元勤務先でお会いした時に比べて最近のあまりの痩せように、「やはり」とも感じました。
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建築をよく知らないうちの両親でさえ知っていた有名建築家・黒川紀章氏。親父曰く、「時代の寵児」だったそうです。
僕らの世代では、すでにオピニオンリーダーではなかったけど、僕はその思想に魅力を感じ、黒川さんの著書を読み漁っている時期がありました。しかし彼の思想をよく知れば知るほど、僕らの時代感とのギャップを感じ、敬遠するようになりました。
敬遠といっても、親父のことを認めつつ、面と向かって尊敬しているとは言い難い、そんな感じ。
そんな僕の元・ヒーローが、都知事選、参院選での派手なパフォーマンスで、メディアで色モノ的に扱われているのを、少し寂しい思いで見ていた矢先の訃報でした。
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建築家として、思想家として、改めて言う必要が無い偉大な功績を残した黒川氏。
その最後の言葉は
「あまり良い奥さんじゃなかったわね」
という妻に返した、
「そんなこと、そんなこと…
本当に好きだったんだから」
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死を前にして、永年連れ添った妻との別れの言葉としてこれ以上シンプルで美しいフレーズを僕は思いつきません。
その明晰な頭脳で、時には宇宙観にまで及ぶ壮大な思想を饒舌に語ってきた建築家の最後の言葉は、僕にとって初めて、黒川紀章という一人の男の「ハート」を意識させるものでした。
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黒川さん、どうぞ安らかにお休みください。
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