ジュン
1ヶ月前に引き渡した(仮称)山口の家にお邪魔してきました。
ここ最近の暑さの中でも、快適な温熱環境が実現できていることを確認できました。新しい生活にも少しずつ馴染んでいらっしゃるようで一安心です。
そして、可愛い子猫が家族に加わっていました。
6月に拾ったので、June・・・ジュンと名づけたそうです。
この新居でジュンが家族に加わったことは、僕の役目を終えた、という達成感をより強くしてくれるものです。
このプロジェクトは、道路建設により土地の大半と家屋を徴収され、余った細長い敷地に建て直すというものでした。
先祖代々、大切に引き継がれてきた土地が奪われること、住み慣れた我が家を壊されること・・・想像を絶する哀しみを乗り越えてできた家です。
ようやく土地徴収を受け入れ、新居に移ることを決意した矢先、さらなる悲劇が家族を襲いました。
さつきと呼んで可愛がっていた愛猫が、新しく完成した道路で撥ねられ亡くなってしまったのです。
ご夫婦の哀しみ、喪失感を、家屋解体の時に続き目の当たりにしました。
道路建設で失われた住環境は、微力ながら僕が関わらせていただくことでなんとか準備できました。でもそれはあくまでも物理的な「器」。失ったものの一部でしかありません。
ジュンに目を細める施主ご夫婦をみて、器の「中身」も揃いつつあるように感じました。僕の設計した建物が、脈動し始めたように思えました。
そんな、ちょっと嬉しい出来事でした。